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桐野夏生『東京島』

桐野夏生東京島』読みました。

映画の宣伝であらすじを知り、面白そうなので読むことにしました。

映画では主人公 清子の役を木村多江さんが演じるんだけど

原作からすると渡辺えりさんが演じたらどうだろうなんて思いました。

読むときは渡辺えりさんを想像しながら読んでいましたわ。

まぁ映画だからやっぱり華があった方が良いだろうしね。

ワタナベ役が窪塚洋介っていうのは合っていると思った。

窪塚がワタナベを演じたら良い感じになると思う。

窪塚あーゆー役上手そうだから。

ネットでレビューを見ると「微妙」という声が多かったけど

私はこういうオチは嫌いではありません。

なかなか面白かったです。

映画は観なくても本だけで満足かな。

吉田修一『悪人』を読んだときは「映画も観たい!」と思ったけど、

今回は本だけで満足。

多分、キャストが『悪人』は私のイメージ通りだけど

東京島』は私のイメージと窪塚以外合わないからだと思う。

そして予想だけど映画ではオチが変わるのではないかと思います。

映画と同じ終わり方だったら観客も「え?!」って感じで腑に落ちないと思うから。

以下、ネタバレありです。





















この本を読んで私が一番面白いと思ったのは

ワタナベが無人島を脱出するシーンかな。

日本人の船が無人島に不法投棄に来て、ちょうどそこはワタナベの敷地なの。

ワタナベは他のグループからハブられていて一人だったんだわ。

で、自分だけ助かっちゃった!

そして何よりどこの国の人かを聞かれたときに「フィリピン」って答えたのがウケた!

私のツボにハマりましたわ。

自分の名前も「ワタナベ」じゃなくてホンコン達に呼ばれていた「ドーベン」って答えちゃうし。

ワタナベはこの本でなかなかのいいキャラですよ。

あと、やっぱり主人公の清子はなかなかのやり手だと思いました。

最終的に脱出しちゃうしね。

無人島で双子を産むんだけど脱出するときに一人は取られちゃうの。

だから一人を残して脱出。

双子の名前は清子が残した子が「チータ」で連れて行った子が「チキ」ね。

無人島ではチータが居るから清子が無事だった場合

取り戻しに来ると考えるんだけど

清子は取り戻しに行くことも無いのよ。

仕方ないって感じなのかしらね。

あの無人島に戻る辛さを考えたら二度と戻りたくないという気持ちも分からなくもないけど。

無人島に残された子供を考えたら可哀想な気もするなぁ。

でー、無人島では残った人達で頑張って生きているのね。

途中からダンスグループの女の人達も登場したから

残った男と女で夫婦になったりして子供も増えているの。

そして島ではチータに島の出来事を話すんだけど

それがまた上手い具合に歪曲されているんだわ。

清子も清子でチキに無人島の話をするときには話がこれまた歪曲しているし。

夫の子供では無いのに「夫の子供」と言ったり。

本当は無人島で夫婦になったGMかホンコンの頭であるヤンの子供なのにね。


ラストの方にあるヤンとチータの会話


チータ「だめだよ。プリンスだから、がけの方に行くなと言われているの」

ヤン「プリンス、人質だから、だいじにされてるだけ」

チータ「ヤンおじさん、ひとじちって何」

チータ「ヤンおじさん、ぼく、大きな島に行ってみたいな」

ヤン「プリンス、みんな、心の中で思ってる」


もうね、この会話にヤラれちゃいましたわ。

ヤンなかなかやるなぁ。

最後の最後でキャラが立っている気がしました。


あと清子とチキの会話。


チキ「そうか。ねえ、まま、その島に行ってみない?」

清子「あたしの占いでは、

   あそこには行き場をなくした霊魂が漂っているから行かない方がいい、と出ているわ」


もうね、清子は完璧戻る気無いよね。

潔さに軽く笑っちゃいました。ヘヘッ。

でも清子が占い師というのは納得がいかないかな。

何で占い師なのよ?!って思う。そんな力無いよね。

どうやって身につけたのよってね。

私は清子の職業だけが唯一の不満かな。

でもなかなか面白い話でしたわ。

そしてヤンが切ない。

清子は大した者だわ。女は強いなぁって感じ。