吉田修一『元職員』

吉田修一『元職員』読みました。

なかなか読み易い話でした。

最初はバンコクの軽い感じが全体的に描かれているんだけど

だんだんと主人公の過去とかが出てくる感じかな。

主人公の過去は最後の最後で明るみになるんじゃなくて

物語の途中から出てくるから

話のテンポもそんなに遅くなくて良かったです。

私は吉田修一さんのずしーんとくる感じが好きだから

この話はまぁまぁだったかな。

もしもこの話が映画化するのであれば

主人公の片桐を主役にしないで武志を主役にしてほしいなぁ。

もちろんバンコクロケでバンコクの明るさと闇の両方を流してほしいかな。

武志をクローズアップしてもなかなか良い物語になるんじゃないかなと思う。

武志役はオダギリジョーとかでどうだろう。

もう少し若い方が良いかな。

そうすると、塚本高史くんとかでも良いかも。

私、小説を読んでキャストを考えるのも好きなのよね。あはは。

以下、ネタバレありです。


















主人公の片桐は日本で会社の金を無断で使っていたのね。

でー、奥さんとバンコクに旅行に行くはずだったんだけど

ドタキャンされて一人でバンコクに行くの。

そして現地で武志と出会い、武志からミントを紹介されるんだわ。

最後の方にミントの弟に殴られるシーンがあるんだけど

その後に片桐は怒るのよ。

その怒り方がまたねぇ。

武志がイラッとするのも分かる気がした。

武志はなかなか軽いけどその軽さが良いよね。

片桐の上司が自分の住宅ローンに対して

「実際には三千万の借金があるわけだから、

 いくら口座に金が貯まったって、どうせ自分の金じゃないんだよ。

 自分の口座に入れておくくらいなら、

 さっさとローン払ったほうが利子も安くなるんだけどさ、

 それでも不思議なもんで、

 手元に現金があるとないとでは日々の暮らしでの余裕が違うんだよなあ」

って言うのね。

この言葉は私も分かる気がしました。

私も車買うとき一括払いしようかと思ったけど、少しだけローンにしたし。

片桐の上司と同じようなことを父に言われたんだよね。

「少しは手元に残しておいた方が良い」って。

まぁ住宅ローンと車のローンを同じ土俵に上げるなって感じだわね。ヘヘッ。

でー、片桐も同じようにとった会社のお金を自分の家にいくらか残してあるのよ。

それによって気持ちに余裕が出来ているらしい。

もうね、片桐は結構キテると思った。

最後の最後でも笑って開き直っているし。

でもこれからどうなるんだろうね。

経理に新しい社員が入ってバレちゃうのかなぁ。

最後まで書いていないからそれは想像でしかないけど。

私はバレないのではないか?なんて思った。