有川浩『フリーター、家を買う。』

有川浩フリーター、家を買う。』読みました。

去年ドラマ化されたときにドラマは見ていたから

大体の話の流れは掴めていたので読み易かったです。

主人公の武一家のキャストが凄くピッタリだったなぁって思った。

ナイスキャスティングでしたわ。

読んでいて違和感が全然無かった。

ドラマを見ていたときも思ったんだけど、

誠治は本当家族から可愛がられて育ったんだなぁって思った。

本では誠治の言葉として書かれているけどね。

ドラマの時はしっかりと誠治の口から出ることはなくて

それはニノの演技と家族の雰囲気から汲み取るものだったんだろうけど。

ドラマを見ていたとき私が「可愛がられて育った子だったんだわ」って言ったら

妹に「何処が?!」って言われたなぁ。

父は私と同じく可愛がられて育った子という意見だったけど。

読んでいると、不器用な誠一も何だか微笑ましく感じちゃう。

実際に誠一のような父だったら大変だっただろうけどね。

フリーター、家を買う。』は誠治が成長していく様子が伝わる前向きな本だったので

読んで良かったなぁと思いました。

ドラマだけでなく、原作も読んだことでドラマの良さも感じたし

色々考えることもあった。

物語の冒頭でお母さんが鬱病を発症したあたりでは

何だか涙が出ちゃったし。

何かね、泣けてきちゃったんだよね。

だから読むのを中断したりして少しずつ読みました。

あー、でも読んで良かった。

以下、ネタバレありです。





















物語はドラマと違って亜矢子が嫁いだ家庭での問題や

誠一が若い女性に簿記を教えているシーンは無かったし

お母さんが詐欺にひっかかるシーンはありませんでした。

ドラマと違って亜矢子は最初から町内の嫌がらせに

お母さんと耐えていたことになっていたことになっていた。

でもその方が亜矢子の強さを感じられて良かったとも思いました。

誠治が軸になって物語は進んでいきました。

ドラマでは千葉ちゃんが外部の人だったけど

原作では誠治のところに入ってくる後輩という設定。

千葉ちゃんの立ち位置が違ったのがあれっ?とは思ったけど。

でもドラマだと千葉ちゃんが最初から出ていないと男ばかりで華が無いしね。

亜矢子と誠一のバトルが結構好きでした。

ズバズバ物を言う亜矢子のセリフを読んでいると何だかスーッとするというか。

誠一も不器用なだけなんだよねぇ。

誠治に頼られると喜んだり、

お母さんも誠一の優しい面を知っているから夫婦になったんだろうなぁと思うこともチラホラあった。

「今のお家に住んでいる限りはもう、一定のレベル以上に回復することは望めないと思います」

という医者の言葉。

誠治も言っていたけどこれには本当グサリと来たね。

お母さんのためには家を出るしかない。

それが一番の薬。

20年以上も嫌がらせに耐えてきたなんてキツイよね。

あと千葉ちゃんと豊川の「間に合ったんだから」という言葉が何だか引っ掛かった。

誠治も千葉ちゃんに言われて、その後豊川にも言われたから

「お前も同じこと言うんだな」とかって言って引っ掛かっていたみたいだけど。

なんかね、なんか引っ掛かるのよ。

鬱病が治ってきているから「間に合った」のかなぁ。

「間に合う」というのは鬱病発症以前に気付くことなんじゃないかなぁ。

だから間に合ったなんて楽観的じゃない気がするんだよね。

間に合ったって何だよ?!ってね。

あ、でもこれは私の気持ちであって誠治の気持ちは違うのかもしれない。

私、国語の問題苦手だったから。

的外れな答えが多かったから。

でも「間に合った」発言はなんか本当引っ掛かったんだよねぇ。


フリーター、家を買う。』は誠治の成長もそうだけど

誠治がみんなから可愛がられてことを凄く感じさせる物語だと思います。

みんな誠治を守っていた感じがする。

お母さんのこともそうだけど、家族の絆を感じる温かい話でした。