吉田修一『悪人』

吉田修一『悪人』を読みました。

単行本が出てから本屋さんで見て、

帯に妻夫木聡くんと深津絵里ちゃんで映画化ということは知っていたんだけど読まないままでした。

でもこの前、映画『告白』を観に行ったときに映画前の宣伝で『悪人』の映画宣伝もやっていて

それを観たら面白そうで、早速映画前に本を買って読むことにしました。

吉田修一さんの小説は今まで『東京湾景』と『日曜日たち』と『さよなら渓谷』を読んだんだけど

今回もいつものように読み終わった後、

心にずっしりと重みがあったというか

何だか切ない気持ちになりました。

吉田修一さんの小説を読むと本当毎回こういう気持ちになるの。

この切ない気持ちが結構好きだったりします。

映画で妻夫木くんと深津絵里ちゃんが演じるという情報があったため

二人を想像しながら読みましたわ。

二人ならきっと良い感じに演じてくれそうだと思いました。

妻夫木くんは祐一を上手く演じてくれるだろうと本当思う。

最初に犯人とされる大学生の男の子は岡田将生くんなんだよね。

岡田くんは最近頑張っているね。

映画『告白』でもウェルテルを演じたし。

岡田くんが増尾くんかぁ。どうだろう。

まぁ大学生の男の子は岡田くん位の年齢の男の子ならって感じだわね。

でー、本の感想ですが、面白かったです。

切ない。

祐一の優しさを感じました。

祐一は人を殺しちゃうんだけど、何だか切ないのよ。

祐一と光代の関係も何だか切ないねぇ。

孤独は辛いよね。

私もあまり友達とか居ない方だから。

最初にも言ったけれど、読み終わった後はズシンときたし

やっぱり吉田修一さんの世界観好きだなぁと思いました。

以下、ネタバレありです。





















祐一は幼い頃、母親に捨てられているのね。

そのことが根底にはあるのよ。

捨てられた後は祖父母の家で暮らしているんだけど

大きくなってからたまに母親と会うの。

でー、母が泣いて謝った日があって

その日から祐一は母親にお金をせびるの。

それは母親を被害者にするため。

祐一は昔通っていた風俗で女の子にこのことについて軽く話すのね。

「欲しゅうもない金、せびるの、つらかぁ」って。

で、女の子が「じゃあ、せびらんならいいたい」って言うの。

そしたら祐一が「でもさ、どっちも被害者にはなれんたい」って言うの。

この「どっちも被害者にはなれんたい」って言葉が私はすべてだと思った。

この一言に私は祐一の優しさを感じたのね。

警察に捕まるときに祐一が光代の首を絞めようとしたのもそのため。

もし普通に捕まっていたら光代も共犯。

祐一が加害者になれば光代は被害者。

祐一と母親も祐一がお金をせびる加害者になれば

母親は祐一を過去に捨てたという負い目があったとしても今は被害者。

祐一はそうやって母親を加害者から被害者に変えていたんだと思う。

自分が悪人になれば他の人が被害者になる。

最初に殺してしまった佳乃のことは違うけれど。

でも祐一のその言葉がなかったら私は本当しっくりしなかっただろうなぁ。

読んでいて、祐一が光代の首を絞めたときはびっくりしたから。

「何で?」って思った。

光代が頑張って警察から逃げてやっと祐一の元に辿り着いたのに

祐一は「俺は・・・・・・、あんたが思うとるような、男じゃない」って言って

いきなり光代の首を絞めるのよ。

びっくりしたわ。本当。

このシーンで終わっていたら驚愕のラストって気もするね。

でもその後の祐一話や風俗の女の子の話を聞いて納得。

祐一切ないね。

祐一は佳乃を殺したから悪人なのに、光代のこととかを考えると切ない悪人って気もする。

グアー。

こういう感覚に陥るから吉田修一さんの作品好きなんだよね。

映画化は原作に忠実にするのかなぁ。

ドラマ『東京湾景』みたいだったら嫌だな。

あれはリアルタイムで1回観て止めたからね。

でも一年前位に本を読んで面白くて、「でもドラマと全然違うじゃん!」って思ったんだよね。

『悪人』は忠実にやってくれたらいいなぁ。

もしラストが違ったりしても良いけど、せめて祐一のキャラはそのままでいて欲しいな。

あー、でも本は面白くて良かった。

読んだ後のズシリ感がたまらない!

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